資金の流れを左右するという点で、外為市場に大きな影響を与えるのは長期金利です。長期債の利回りで見た日米の金利差は八〇年代後半には三・五%程度もありました。カネ余りで国内に適当な資金運用先のない日本の企業や機関投資家は積極的にドル債を購入し、外債買い越し額(購入分から売却分を差し引いた額)が一九八六年には九百億ドルを超えるまでになり、ドルを支える要因となりました。ところが、その後の急激な円高・ドル安で為替差損が出始めると、急速にドル債への投資が冷え込み、今度はドルが急落を続けました。九〇年から九三年にかけては、日米間の長期金利差が縮小したこともあり、日本の機関投資家の米国債投資は縮小し続け、九三年以降、円高・ドル安が加速する一因になりました。また、九四年には、米国の景気が急拡大し、長期金利が一時八%程度まで上昇しました。インフレ懸念が強く、長期金利の天井感が出にくかったことから、かえってドル債購入が手控えられたのが主因で、インフレ懸念はドル売り圧力を高める要因にもなりました。九五年に入ってからは、メキシコ通貨危機を契機とした米国への資金還流や、米景気の減速に伴い長期金利は低下しています。この過程で債券の値上がり益を狙った短期的な米国債投資はやや増えましたが、日本勢などによる息の長い投資は控えられたままで、円売り・ドル買い需要は大きくは増えていません。
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