ISDNは、この問題を少しは解決してくれる。しかし、33Kbpsに比べてスピードがたかだか倍になる程度では、抜本的な解決策とはとても言えないだろう。やはり、500Kbpsとか1Mbpsくらいのスピードになってはじめてフラストレーションなく、インターネットとお付き合いできるのではあるまいか。家庭でのインターネットのスピードに比べ、勤め先のLANで速いネット接続に慣れている方々には、よくおわかりいただけることと思う。このくらいの速度なら、仕事関係のデータもいちいち紙にコピーして持ち帰ることなく、家庭や公衆端末を通じてPCに入れたまま見ることができる。携帯電話の広帯域化か進めば、まさに歩くオフィスが現実のものとなる。すでにこのような使い方をしている企業は増えている。この方法の便利なところは、取引先に営業上の提案をするさい、会社のデータベースと接続しながら出先で提案書を顧客別に作成したり、リアルタイムのデータを示したりできることだ。しかも、いちいちオフィスに戻ることなくその場でも対応できるため、素早い提案やデータ処理が可能であり、競争に一歩先行できるというわけだ。
非同期型のコミュニケーションというのは、主休の活動にかかわらず発生するコミュニケーションです。突然雨が降ってくる、そのような感じのもので、手紙など、相手との調整なしに始まるコミュニケーションです。人間のコミュニケーションにはこの両方が混ざっていて、いずれをもテクノロジーで支援すべきなのですが、実際に存在しているコミュニケーションのテクノロジー、あるいはデータ通信の技術は、どうしても同期型コミュニケーションに偏っています。非同期型コミュニケーションは、きちんとした定義ができないので、これまでの技術ではむずかしかったのです。人間は眠っているとき以外はいつも活性化されていますから、予期しないものを受け入れる能力がかなり高いのですが、コミュニケーション・テクノロジーはなかなかそうはいきません。非同期のコミュニケーションを始めるとき、相手側は瞬時になにしろ事前の打ち合わせはないのですから準備をしなければいけないわけですが、これがむずかしいのです。インターネットはコンピュータ間では、「いつも」つながっているので、かなり非同期のコミュニケーションに対応できていますが、まだ十分ではありません。この同期と非同期の問題も、テクノロジーと実際の人間のコミュニケーションとがずれているポイントで、今後の大きな課題になるのではないかと思います。
アマゾンは、創業からしばらく赤字であったにもかかわらず、「ネット企業とは独創的な消費者目線システムの開発である」と言わんばかりにオリジナルのソフトウェアへの投資を続け、それが現在の秀逸なデータベースとなった。企業買収で売上高を上げていくのも手段としてはよいが、ネット企業は独創的なITイノベーション(革新)を消費者に提供するサービスであるということを、アマゾンのシステム(データベースをはじめとしたソフトウェア)は改めて教えてくれるのではないか。アマゾンは、利便性によってウェブ1.0企業を体現し、ロングテールでウェブ2.0企業に遷移することができたと評されるが、企業理念として一貫していたのは「消費者目線」であったのだろう。消費者を、文字どおりの「消費する人(企業にとって利益を与えてくれる人)」ではなく、企業にとっての共生者という位置づけが欠かせない。
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